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手帳の文化史は、手帳の歴史を知る読み物として面白いのでおすすめ (コラム)

手帳の文化史 NTT出版Webマガジン -Web nttpub-

 

手帳が現在の形になったのがいつからか、というのは私の中で密かな関心でした。

特に、日本で手帳の原型がいつからできたのか、というのが一番の関心です。

なぜかというと、日本の歴史を辿っていく中で、近現代になって突然、手帳という存在が日本に現れたように思うからです。

平安時代の手帳、江戸時代の手帳、というのはあまり想像が付きません。それに、どちらかというと、手帳自体西洋の文化です。

にもかかわらず、手帳の日本での人気はすさまじいです。

 

近現代以前の手帳

手帳というのは今でこそ、=スケジュール帳のような意味合いで捉えられますが、過去の歴史を見ていくと決してそうでないことがわかります。

ダヴィンチの手帳がイメージとして近いでしょうか。

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昔の手帳は今よりも知識や情報に重きをおいています。

伝聞や見聞などで知る情報が圧倒的ですから、書き留めることで知識を残すしかなかったのです。

ですから、この頃に手帳に書かれた情報というのは、今で言う書物のような意味を持ったのだろうと想像しています。

実用的なのは今と同じですが、そ タスク管理などを中心とした手帳の目的とは方向性が違ったことでしょう。

 

近現代以降の手帳

そこから近代に時代が移り、まず軍隊で手帳が使われ始めます。

軍隊手帳には、以下のようなことが書かれたページもあったようです。

忠節:
国家に対して忠誠を誓い働くこと
礼儀:
階級と年次を重んじること。上級のものは下級のものをいたずらにさげすまぬこと
武勲:
武勇を重んじ、小敵を侮らず大敵にひるまないこと
信義:
信義を守ること。自分のつとめを果たすこと
質素:
質素を第一とすること。そうしなければ武を軽んじ、贅沢で派手になるので

これ、言ってしまえば少し前までよくあった企業で配られる「年玉手帳」と同じものです。伊藤忠商事で配れられる手帳にも商社マンとして活動する上での◯箇条!というようなクレドが書かれているようなので、根本に流れる思想は同じです。

 

日本に入ってきてしばらくの手帳の役割は、団体の意識統一をするための手帳と言っていいでしょう。

 

現在の手帳

会社の経費削減等で、「年玉手帳」が徐々になくなり、現在に至っています。

今文房具全体のラインナップが増えているのは、経費削減で会社が文房具を用意してくれなくなったから、なんて話も有りますよね。

では、今の手帳の役割は何なのか・・・

 

個人的な感想ですが、自己表現ツールとして手帳を使う方が増えてきているのはないかなぁと感じています。実用的な使い方は、だいぶデジタルに押されていますから。

はやりのバレットジャーナルも、モレスキンも、ほぼ日も、そういう使い方がされることが多いですよね。

 

ジブン手帳なんかも、ライフログツールですよね。

では、自己実現ツールとしての役割もデジタルに奪われたら・・・?

 

そういった今後の手帳の姿を想像するのにも、この「手帳の文化史」を読んで見ることは一助となるように思います。おすすめです。

 

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